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恥ずかしさも相まってどんどん顔が赤らんでいくのを彼女に知られないよう僕もカメラを構えた。
「ちょっとこっち向いて!」
「え?」
さっきよりも大きな声で呼び掛けるとようやく聞こえたのか、顔だけこちらを向いた。
それと同時にパシャリとシャッターを切る音が静かな空気へと響く。
「?!ちょっと、何撮ってるの!」
「コンテスト用の写真だよ?」
ニヤニヤしながら言うと、怒った顔で僕のカメラを奪おうとしてくる。
でも、僕は取られないように抱きかかえて懐に隠した。
「何回呼んでも気付かないんだもん。一枚くらいいいじゃん。」
そう言えば、またカメラを構えて今度は僕にピントを合わせてシャッターを切る。
「ちょっ!なんで撮ってるの?!」
「私もコンテスト用の撮ってるだけだけど?」
してやった。
というような表情で応えるのに、また頬が熱くなる。
「あー顔赤い!」
「寒いからだよ。」
そっぽ向いて、これ以上紅潮した顔を見られないようにした。
それを知ってか、知らずか彼女は冷たい手で僕の頬に触れて悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。
それからじゃれ合う猫のように辺りを走り回ってから家に帰った。
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