一枚の写真

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街の中心から少し外れた高台。 春には桜が満開になり花見客で賑わうような場所。 まだ寒くて今日も雪が降っている。 そんな中、展望台にもなっている拓けた所で僕らはコンテスト用の写真を撮っていた。 植わっている木々にカメラを向けた彼女は少し寒そうに白い息を吐いている。 もうどのくらい此処に居るっけ? 一時間…?もっと、かな。 少しずつ、少しずつ後ろに下がって木に埋もれていくことにも、コートや頭に雪が積もっている事にも気が付いていない彼女を見て、そろそろ帰ろうかと声を掛けた。 夢中になってファインダーを覗いているものだから僕の声すらも聞こえていないらしい。 「風邪ひいちゃうよー。」 流石にそろそろ暖かい所に行かないと風邪をひきそうだ。 寒すぎて彼女自体が雪みたいに真っ白になっているじゃないか。 元々白い肌なのに寒さでより白さが際立っている彼女の顔や手を何気なく見ていた。 不意にカメラに添えられた手が綺麗だと思った。 その瞬間僕の顔に熱が集まるのが分かった。 心臓の音が早くなっていくのを自分の声で隠すように呼んでみる。 「ねぇ、ねえってば。」 それでも枝にとまっている鳥に釘付けで、僕の声が聞こえていないらしい。     
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