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「私とキョンって、親友じゃないの?」
『ついこの前まで友達でいてくれとか言ってなかったか?』
「ランクアップだね」
『はぁ?!なんだよ、それ』
「嬉しいくせに」
『嬉しくねぇよ!』
「無理しなくていいって」
『してねぇ!』
「はいはい。あ、私もう寝るから。話したいことも全部話したし」
キョンが今言ったことを思い出す前に、電話を切ろう。
自分勝手だと思われるのは慣れている。
キョンにしか発揮されないことなのだから、今更どう思われようが気にする必要がない。
『勝手なヤツ。まぁ、俺も眠いから許す』
「随分大きく出たね」
『・・・眠いので寝かせて下さい』
「よろしい。じゃあ、また。キョン、大好きだよ」
プッと吹き出すのを堪え、おやすみを告げる。
何か言おうとしたキョンに言わせることなく、電話を切る。
今頃頭を抱え、やきもきしているだろう。スマホに向かって、私の悪態をついているかもしれない。
気づかなきゃいい。
キョンに対する気持ちの変化が起こっているだなんて、気づかなきゃいい。
気づいたからといって、どうすることもできない。
むしろ、何もしなくていい。ただ私にはキョンが必要なんだ。
私は女でキョンは男。
男女間に友情は芽生えるのか?
答えはきっとノー。
どちからかが、恋愛感情を抱いた時点で後戻りはできない。
だけど、私は限りなくノーに近いイエスを望み、実現したい。
それが例え、無理矢理だったとしても、この世で好きだと思える人を失うことより恐いことはないと思う。
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