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残暑の残る、九月一日。
夏休みは終わり、学校が始まった。
佐藤くんとの距離が夏休み前より少し近づいて、現実がより近いと感じる。
だから、私は決心した。
佐藤くんだけの為に演じてきた青井夕香を私にしよう、と。
すぐにイジメがなくなるわけじゃないけど、おとなしくするのはやめた。
もちろん時と場合により使い分けはしなければならないし、持久戦になることだって間違いない。
「青井?」
「おはよう、矢代くん」
二度目だ。
今回だけは大目に見て、笑みは絶やさずにいてやろう。
「おはよ…っつーか、ちょっとこっち来い!」
返事したかと思えば、突然私の腕を掴み、走り出した。
一直線に向かう場所といえば、アソコしかない。
まだ人気が少なかったせいか、キョンに手を引かれている私を目撃しても指差されることはなかった。
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