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「青井は俺のこと、親友って言ったけど恋人とどっちが大事なわけ?」
「何、その質問」
「いいから答えろよ」
私が思うよりずっと真剣で女々しい質問をするキョンは、いつもより恐いけれど可愛いと思う私は変だろうか。
「どっちも。キョンも佐藤くんも大事」
「んだよ、それ・・・ズリィ」
両手をついてピンッと伸びていた肘がカクンッと曲がる。
そのままキョンのうな垂れた頭が私の肩に乗ってくる。
「キョン」
左肩に乗るキョンの後頭部を右手で撫でると、キョンの肩が一瞬大きく上がる。
「私のせいで辛いなら、キョンから離れてね。キョンが辛くても困ってても、私から離れるつもりないから」
ふと、佐藤くんの言葉を思い出す。
『もう誰にも触れさせないで下さい。夕香さんは僕にしか触れられちゃいけない』
さっそく、約束破ったことになるのだろうか。
でも、キョンは親友。
だから、セーフ?
「そんなの、俺が離れられるわけねぇよ。俺はただ、お前のことが好きなだけだ」
私の我儘は底知れないトコロまである。
私がキョンを突き放せば、彼が楽になることくらいわかっているのに。
キョンから五度目の告白を聞いても尚、彼を解放してあげられない。
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