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いじめに合い始めたのは、中学二年生の終わりあたりで、きっかけは些細なことだった。
中途半端な二年生っていうのは、中学生でも高校生でも一番気持ちに締まりがなくて、浮ついている時期だ。
だから、力を入れるトコを簡単に間違える。
その多くは勉強じゃなくて恋に、だ。
私もその一人だった。
同じ卓球部に所属していた男の子に恋心を抱いていた。
男女練習が頻繁にあって、その子とは特にふざけたり、真面目に練習したり、とにかく仲が良かった。
カッコ良くて、密かに女子の間で人気があったことも知っていた。
私に直接「うらやましい」とか「ズルい」とか言う子もいたから、自覚はしていた。
だけど、同じ部活で仲の良い友達までその子のことを好きだなんて、本当に知らなかった。
初めて数人に問いただされた時、首を傾げたぐらいだった。
おかげでそのことに気づけたものの、友達の気持ちを無視することはできなくて、私は全てを諦めた。
諦めざるを終えなかった。
恋だけじゃない。
友達も部活も、学校も。
突然始まったいじめに驚いて怯えていた私も、次第とある事に気づいた。
親友という枠に当てはまる子の好きな人と仲良くことに怒っているのは表向きで、彼女達は壊れなくて飽きないオモチャが欲しかったのだ。
ああいう時の女子の集団はなぜか一致団結していて、弁解さえ一切させてくれない。
簡単に友達なんていなくなるものだって、思い知った。
「ひどい」
「サイテー」
「裏切りモノ」
罵倒は続いた。
軽いとか重いとか、言葉にそんなものはない。
「友達の好きな人なら応援するべきじゃないの?」
「気持ち知ってるくせに信じられない」
部活に行く度に毎日言われ続けた。
いくら否定しても聞いてはもらえず、部活は簡単に辞めてしまった。
まだ弱さだけだった私は、逃げ出した。
けれど、部活を辞めたからといって、彼女達の腹の虫が治まることはなかった。
場所は教室へと移ったのだ。
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