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たくさんの虫を虫籠に詰め込み、来た時と同じく自転車に二人乗りで、今度は弛い坂道を下っていく。 「あ、喉乾いたからコンビニ寄る。拓也は荷物見てて」 「おう。俺コーラ、赤な」 「おけ」 二人分の飲み物を買って拓也が待つ店舗の裏側へ歩いていく途中、柄の悪い大柄な男が彩斗の前に立ち塞がった。 「あれー?こんな時間に買い物ー?」 更にもう一人が彩斗の後ろから声をかける。 「こんな時間に危ないって。俺らが送ってくよ。大丈夫、送ってくだけ」 右手の車道からはスモークがかかったワンボックスカーが静かに幅寄せしてきて逃げ場がない。 コンビニのカメラの死角に入った途端に迫ってくるのはタチが悪いが、本当に危ない奴等なら、悠長に声を掛ける前に、とっくに車に連れ込まれているだろう。 男たちからはアルコールの臭いがした。 「目ぇ腐ってんの?俺、男だけど」 彩斗は線は細いが背は平均的な男性のそれだ。 ユニセックスな髪型や服装を好むので、遠目からは女性に見られることもあるが、この至近距離で見間違えるのは、辺りが暗いからか、男たちが酔っているからか。 「またまたぁー。君キレイだね、よく言われない?」 「背ぇ高いね。モデルさん?モデルさんでしょ?」     
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