恨みの矛先

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 同時に、反転する視界。屋上に設置された祭壇と――不気味な笑顔で此方を見下ろす神主の顔が遠ざかっていく。 (ああ……轢き逃げ犯はあの神主だったのか……)  そう理解すると同時、僕の体は冷たいアスファルトに叩きつけられ、僕は意識を失って逝った。  数か月後。  インターネットの掲示板ではあるビルが話題になっていた。  そのビルには、頭から血を流し、此方を恨めしげに見つめる少女と、全身をあらぬ方向に捻じ曲げた姿で睨みつけてくる男の霊が出るらしい。 「でも、おかしいよな。このビル、この前までは女の子の霊しか出なかったって言うぜ?」 「マジ? ってかさ、お祓いの最中に管理人が飛び降り自殺したんだろ? 男の霊ってそいつじゃね?」 「ああ、あるかもな! だってさ、その男が轢き逃げ事件の犯人だって前の新聞に載ってたじゃん?」 「そうそう。自分で女の子を轢き殺しておいて除霊しようとするなんて、マジでクソだわ」 「ほんとそれな。ってか、俺たちがその管理人の霊を除霊してやらねぇ?」 「それいいな! 俺たち、超正義の味方じゃん!」  そんな書き込みを見つめ、ゆっくりとその唇を三日月の形に釣り上げる和装の男性。  彼の背後には、恨めし気に佇む少女と男の姿があった。  ああ、ねぇ、誰か……僕達の姿が見える誰か。  あなたが僕達を見付けてくれるのを、ずっと待っています。  ずっとずっと、待っています。  お願いです。どうか、この無念を晴らしては貰えませんか……?
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