雪の降り積もった朝に

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「お姉さん!?ホントにお姉さん!?」 ユウタくんが飛んでくるかのようにそばに寄ってきて、両肩を掴んでグラグラと揺らす。 返事しようにも手加減してくれないと、返事が…。 「お姉さん!」 返事要らずで、私だと認識してくれて満面の笑みで「あはっ」と言いながら、私を抱きしめた。 やっぱり力は手加減してくれないようで、苦しい。 けど、久々に会ったユウタくんを見てそんな苦しさを通り越して、素直に嬉しくて、そっとユウタくんの背中に手を当てた。 「ユウタくん、ご飯食べてる?」 「お姉さん、どうして突然会ってくれなくなったの?」 ゆっくり離れると、腕を掴んだままお互い話し出す。 私の質問に答えず、黙って見つめたままのユウタくん。 仕方なく「ユウタくん、どうしてデビューしていたこと教えてくれなかったの?」と新たな質問を投げかけた。 「毎日あの場所に行ってたのに、本当に来ないとは思わなかった」 あくまで言いたいことを通すらしい。 「私ずっと知らなかった。あの日ユウタくんがオーディションって言ったから、デビューを目指しているんだと思っていたの」 「転職したなんて嘘ですよね?」 「知らなかった、実はユウタくんがアイドルだなんて」 「こっそりお姉さんが公園の入り口で様子伺ってる姿見ましたもん」 「インターネットで調べたんだからね」 「こんなに近くにいるのに、そばに来てくれないから嫌われたかと思って、本当に行くのやめました…」 「そうだったんだ…」 …あ、しまった。 ついうっかりユウタくんの言葉に相槌を打ってしまった。 私の表情を見て、ユウタくんが笑い出した。 「お姉さんの負けー!質問に答えて下さい!」 「ゲームなんてしてません」 「でも今やっちゃったって顔したもん」 「…何の質問によ」 「なんで突然会わないって言ったの?」 さっきまでの見慣れたふにゃっとした笑顔は消えて、真面目な顔して私を見るユウタくん。 「…ユウタくんが遠くに感じたの。それに私ユウタくんのこと何も知らないって思い知ったから」 違う。 ただ、悔しかった。 何も知らないのが。 目の前にいるユウタくんが知らない人のようで…私よりユウタくんのことを色んな人が知ってるということが悔しかった。 出会ってそんな月日は経ってないから、当たり前なのに、ただ悔しかった。
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