青空が映った

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「マンガの吹き出しに コトバを入れるだけなんだから・誰だってできるでしょう?」 小説とも言えない 会話なるものを書けという/ネットの締め切りがどうのこうのと言ってる がよく分からない・何という無理難題を言うのが2年生だけど文芸部部長であるらしい先輩 の仕事なのだろうか そりゃあ入部したのだから・覚悟 はしていなければならない それでもこんなことを・入部したその初日に 与えてよい試練なのだろうか/自慢ではあるが・作文なんて小学校から原稿用紙1枚すら書いたことは無い 準備室の窓際にある机の横にある椅子に座る/窓を開けてみる 放課後・部室兼古典準備室から見える空は心地よい ふとこんな空だったかなと・思い出す 入学式の後 恒例らしいサークル勧誘の人ごみのから離れた校庭の向こうに彼女がいた・緑の芝生に座って ずっと顔の向きを上にしている どうして近づこうと思ったのか よく分からない・にしても彼女も気ついていない? 彼女の近くまで来てしまったのは ”彼女の・成層圏まで届くかと思うほど 他を寄せ付けない青空が映っている眼鏡と・その奥にあるもっと蒼い瞳”・に吸い寄せられてしまったからだ ふと・彼女が振り向いた 「ねえ・青空部に入らない?」 「あおぞらぶ? ですか?」 彼女は・驚いたようにこちらを見て 小さく笑った 思い出し笑いをしそうになった僕の近く窓枠のところに・突然 先輩が腰をかけてきた 大切なはずの「文芸部」のトコロを聞き逃したのか/あのとき・先輩の眼鏡越しに瞳の奥が光ってたように見えて・けれど それはレンズの反射だったのか
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