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奇妙なまだら服の男は、首から笛をぶらさげていて、先ほどの笛の音は、あの男のものだったのだと思われた。
男が、一度頼羅達の方を見たように顔を向けたが、薄暗い時刻で、その表情まではわからなかった。嫌な予感がする、そう思っても、初対面の大人に自分たちから話しかける勇気は持てず、頼羅と小鳥はきらりとまだら服の男が立ち去るまで、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
二人が姿を消した後、ほっと気を抜いた二人は、どちらもが手に汗をかいている事に気がついた。
ぽつんと残されてしまった自転車をどうするべきか迷ったけれど、きらりがとりにくるかもしれないと、通りの邪魔にならないよう端に避けて、二人はマンションへ戻った。
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