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マンションへ向かう途中、振り返るとそこにまだら服の男が立っているような気がして、早く、早くと、走るようにしてたどりつき、二人はエレベーターで別れた。
先に降りる頼羅が小鳥に言う。
「またね」
きらりもそう言っていた。きっと、また、明日にでもあの公園で希良梨に会える。きっと自転車を取りに来るはずだ。
そうしたら聞こう、きらりのおじさんて何やってる人なの?と。
何か、納得できる答えが欲しかった。この恐怖は気のせいなのだと、安心させて欲しかった。
夕刻に笛の音と相まって見せた、錯覚なのだと、思いたかった。
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