いなくなったおじいちゃん

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いなくなったおじいちゃん

 頼羅は家に帰ってから、机にしまっていた折り紙を思い出したように取り出した。もっとずっと小さかった頃に、祖父からもらった折り紙。  きらりが持っていたのによく似ている、と、改めて思いながら、少しの間手に持っていると、ぽうっと折り紙が明るく光る。違いがあるとするならば、頼羅が持っている折り紙は青白くひかり、きらりが持っていたものはオレンジ色に光っていた。  祖父に習ったように鶴にして、頼羅がぽい、と、放り投げると、折り鶴は青白い光をまとったまま、宙に浮かぶ。  おじいちゃんは、他にもあの折り紙があると知っていたのかな、と、頼羅は思った。きらりは、あのまだら服の男に折り紙をもらったのだろう。では、おじいちゃんもあの男の事を知っているのか。  ふいに、ノックの後、頼羅の母が顔を出した。頼羅は折り鶴をあわててポケットにしまった。 「頼羅、ちょっとこれから出るんだけど、一緒に行ってもらえない?」  母は外出の支度をしていて、手には車のキイを持っていた。
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