ライラとイタル

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ライラとイタル

 祖父を保護してくれていたのは市内の中心部から少し外れた場所にあるレストランだった。道がわからなくなってうろうろしているのを、声をかけて店内に引き止めて、祖母に電話をしてくれたのだった。 「あれー、ここだったんだ」  頼羅の母の隆子が車を駐車場に停めると、開店の祝い花が数点飾ってあるのが見えた。農産物直売所のあった場所が取り壊しているのを見たことのある場所で、全く別の建物が建っていた。扉と看板には明日がオープン日であると書いてあり、外の照明は消えているが、ガラス扉の向こうは明かりがついていて、人影も見える。 「すみません、お電話いただきました、友部と申します」  隆子が扉を開けながら言うと、店内に祖父の源五郎が座っていた。
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