まだら服の笛吹き、再び

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 イケメンの転入生にきゃあきゃあ言ってるわけではなかったのだ、さすがは小鳥だ、と見直しながら、頼羅は言った。 「すごい、チェックしてたんだ、小さかったし三年生では無いよねえ……」 「それか、有本君みたいに転校する予定だったとか」  イタルの苗字は有本というのか、と思いながら、頼羅は、今いる生徒じゃないなら、自分たちではもうこれ以上調べようがないな、と、あきらめそうになった。 「とりあえず、今日もまた公園には行くつもり、きらりちゃん、自転車をとりにくるかもしれないし」  小鳥が言うと、 「そうだね、自転車が無ければお家にちゃんと帰ったってわかるしね」  頼羅も小鳥も、きらりの痣については言葉にしなかった。何となく『虐待』という二文字が思い浮かんだけれど、単におてんばだとか、しょっちゅう自転車で転んで自分でつけた跡かもしれないからだ。
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