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頼羅がはしゃいで折り鶴を追うと、祖父はその姿に目を細めて
「ああ、おじいちゃんでは、もうこの紙を光らせる事はできないんだなあ」
と、ぼんやりつぶやいた。
「おじいちゃん?」
と、頼羅が尋ねると、祖父は頼羅を見て、
「たがめ……」
と、つぶやいた。
「らいらだよ? たがめじゃないよ?」
そう、頼羅が言うと、祖父は眦に輝く粒のようなものを滲ませながら、哀しそうに答えた。
「ああ、そうだな、たがめは、もういないんだ……」
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