紙ひこうき飛んだ

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紙ひこうき飛んだ

 なかなかおむつのとれなかった頼羅も、今では小学校四年生。細くてふわふわして逆だってしまった髪は伸びて、細いまっすぐなストレートの黒髪になった。さらさらの髪をおかっぱにして、ランドセルを揺らしながら、走ってマンションまで戻る。扉の前で、二階上に住んでいる小鳥と、 「じゃあランドセル置いたらエントランスね!」  そう言って別れた。家に居た母の、宿題は? という問いかけに、帰ったらやる、と、返しながら、頼羅はバスケットボールを手にマンションのエントランスへ向かった。  公園のバスケットゴールは、急がないとすぐに誰かに取られてしまう。ボールと水筒、ハンカチとティッシュを入れたケースには防犯ブザーがついている。遊んでいるとブザーが勝手に鳴ってしまうのだけれど、これを持って出ないと母が家から出してくれないので、しぶしぶ持って出歩いている。  11月もなかば、明るい時間はどんどん短くなっていく、急いで公園に行かないと、外で遊ぶ時間が惜しかった。エントランスで先に待っていた小鳥も、そわそわとした様子で、ツインテールの髪飾りのポンポンが揺れていた。
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