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小鳥が女の子にたずねても、女の子はきょとんとして首をふるだけだった。痛くないのかな、と、頼羅は思い、もしかしたら我慢しているのかな、と、女の子の表情を探った。
けれど、女の子は、今となっては痛みなど感じないようにぼんやりとされるがままになっていた。
「じゃあ、これ、はっておこうか」
小鳥がいつも持っている救急セットから、かわいいデザインの絆創膏を取り出すと、初めて女の子は表情を明るくした。とてもかわいい笑顔だった。
「白堀小学校の子?」
頼羅は自分たちの通っている小学校の名前を言ってみたが、女の子は首をかしげるだけで、いまひとつ要領を得ない。
「お名前は?」
小鳥が、うんと小さな子に尋ねるような調子で聞くと、そこでようやく女の子は、元気よく答えた。
「きらり!」
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