蒼の花 雨の街にて

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蒼の花 雨の街にて

誰もいない街、繁栄の跡、其処には忘れ去られた者達が集うと云う。 かつての温もりを忘れられぬ者、戦火の傷に心を痛めた者、記憶に遺らなかった者……。 そして、全てを忘れ、何かを待ち続ける者。 その街には、何時も雨が降っていた。朝、昼、夕、自重を知らずポツポツと降る。かつて、水溜りを踏んだ長靴の音は消え去り、冷たい雨模様がずっと続いている。 私は待っている。 雨に流されたかつての想い、それの終着点を。 しかし、待ち続けても答えはいつになっても返ってこない。きっとこの街はいつまでも止まったままなのだ。 雨が止まないこの街で、私は初めて待つのをやめた。
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