花が咲く日まで

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「今日もやってるー!花咲か爺さん!」 周りの子達が話しながら笑ってる。 あたしもその声に花壇を見る。 毎日毎日、花壇に水をやる環境委員の菊地くん。 「あそこなにもないのにねー」 クスクス笑う声が響く。 彼女たちの言う通り、菊地くんが毎日水をやってる花壇には何も植えられていない。 なのに毎日毎日水を上げ続ける。 いつの間にか彼には、〝花咲か爺さん〟というあだ名がついていた。 何も無いから、何も咲くはずがないのに。 彼は、花が咲くのを待っている。 普段の授業は寝てばかりなのに、放課後のこの時間だけ目が開いてるところをみるんじゃないかってぐらい。 彼は誰とも話さないから、同じクラスなのに声も聞いたことがない。 あたしは、そんな彼に少し興味が湧いてしまった。 「話かけようかな」 「は?」 あたしが呟いた言葉に横にいた親友の希望(のぞみ)が怪訝な顔になる。 「菊地くん」 「愛音(あいら)?!なんでまた菊地!?」
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