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「興味があるの」
「ふーん」
希望はそこまで興味なさそうに相槌を打つ。
あたし、形原愛音(かたはら あいら)
とりあえず好奇心旺盛な高校二年生。
花咲か爺さんな彼は、菊地和斗(きくち かずと)くん。
「菊地くん!」
あたしは菊地くんの隣にしゃがんで声をかけてみる。
ふと一瞬だけ、あたしの方をみて、でも視線はすぐに元の位置に戻る。
目が合ったのは確実なのに、あたしの存在は彼のなかでないものにでもなっているのだろうか。
「初めてだな」
教室では、いつも寝てるから、こうして近くで顔をち見たは初めてかもしれない。
「菊地くん?あ、もう終わったの?」
もう1度声をかけると同時に彼はすくっと立ち上がる。
「あんた誰だよ」
はぁっとため息をついて、不機嫌そうな声を漏らす。
「同じクラスの形原愛音」
「ふーん」
それだけ言って彼は振り向きもせず、歩き出す。
「なかなかガードが硬いね」
希望が笑いながら歩いてくる。
「明日も明後日も帰りはここに来るわ!」
「急にどうしたの?」
「仲良くなりたいの」
なぜだか素直にそう思った。
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