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柔らかい日差しと暖かい風。
何度目かの春を迎えて、ブルームはもう五歳になった。
最近の口癖は「僕がママを守る!」と、ちょっとだけお兄ちゃんになった。
相変わらずピーマンとナスは食べられないけど。
それでも私は今では普通に笑って暮らせるようになった。
きっとブルームがいてくれたから。
一人だったら、あの報せの時に生きる気力をなくしていたと思う。
本当に子供の存在って親にパワーをくれるんだね。
家事も終わって、今日は仕事もなかったから、庭のテラスで風にはためく洗濯物を眺めていたら、洗濯物の向こうに足が見えた。
もしかして、呼び鈴を押しても私が出なかったから庭に回ってきたのかと思い、その人の所まで駆け寄る。
「すみません、お客様に気付かなくて…」
「ただいま、エマ」
「あなた…?」
少しやつれてはいるけど、間違いなくあの人だ。
でもワザと私に近付こうと整形した人かもしれない。
実際、私に再婚を迫る男が何人もいたけど、まだ夫は死んでいないと突っぱねてきた。
自衛で銃も持って、全て要求は拒否した。
身内にしか分からないクイズを出してみよう。
「ちょっと試させてください。問題、私の子供の性別、名前は何でしょうか?」
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