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リンダは茶色のトカゲだった。
いつも自信無さそうに伏し目がちで、足の爪先が見えるか見えないかぐらいの長いスカートを履いて、たまに見える青い尻尾を隠していた。
アリスとの出会いはアリスが14歳の時だった。
アリスは7歳の時に不思議の国に迷い混み少しばかりの騒動を起こし、疲れ果てるかのように“名無しの森”にやってきた。
“名無しの森”の奥底には上半身と翼は鷲で下半身がライオンのグリフォンのおじさんと子鹿が住んでいた。
グリフォンのおじさんは優しくアリスを迎え入れ、アリスと子鹿とグリフォンのおじさんは“名無しの森”の奥底で暮らし始めた。
時は経ち、アリスが10歳の時だった。
グリフォンのおじさんはアリスに学校へ行くように言った。
グリフォンのおじさんは前々からハートの女王にアリスの事をお願いしていた。
自分がもし居なくなってしまった時の事を考えてしまったからだ。
「ハートの女王陛下。慈愛深い女王陛下。可哀想な独りぼっちのアリスを学校に入れさせて頂きたいのです。アリスの今までの御無礼をどうかお赦しいただき、アリスの面倒を見ては下さりませんか?」
グリフォンのお願いにハートの女王はふんっと嫌な顔をしたと思えば、何かを思い付いたかの様にニタニタと笑い「私の専属のメイドとして働くなら良かろう」と不敵な笑みで返事をした。
アリスは11歳ながら昼は小等部で学業を励み、夜はハートの女王のメイドとして働いた。
そんな生活を続けていたらいつしかアリスは学校で有名になった。
アリスは学校に入るや否やメキメキと成長をし、文武両道なんでもこなした。
学校中から清楚で可憐でしかもハートの女王直属のメイドなんて!と皆口々に噂した。
14歳になりアリスは中等部に上がることになった。
その中等部の最初のクラスにいたのがリンダだった。
リンダはアリスの少し後ろを歩くような子だった。
アリスが色んな人に囲まれている時も遠巻きにその様子を見ていた。
気にかけたアリスが「おはよう!リンダ!」と話しかけても、目を背け俯き小さく「おはよう」と呟くだけだった。
いつしかアリスも気にかけなくなり、いるかいないのかわからないようになったまま、中等部、高等部と卒業した。
アリスが25歳の時、級友の結婚式に呼ばれ久し振りにリンダに会った。
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