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私は怖くてその場にしゃがみ込んでいた。
片方の足を引きずりながら逃げて行くユージの姿を見て、その男は私に歩み寄った。
「大丈夫かい…」
私は小さく頷く。
まだ身体の震えが止まらない。
彼は私を連れて、近くにあった深夜までやっている喫茶店に来た。
彼は寺井と名乗った。
その日、寺井さんと飲んだホットココアが美味しかった。
私が居酒屋でバイトをしている事を言うと、寺井さんはバイト先に飲みに来てくれる様になり、いつも私を部屋までタクシーで送ってくれた。
少し経った頃に、私に寺井さんは付き合おうと言ってくれた。
寺井さんは私が好きだと言う。
私は寺井さんが好きなのかどうか…。
でも私は付き合う事にした。
寺井さんと私は一回り歳が違う。
干支が同じだって事でそれに気付いた。
そして私は、その瞬間から寺井さんが私に飽きるのを待つ様になる。
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