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「お前さ、セックスして気持ちよくないの」
シンヤがさっさと果てて、下着を穿きながら言う。
私はベッドで髪を触りながら黙ってた。
「やってるこっちが拍子抜けするんだよな…。ちょっとは気持ち良い表情とか見せたらどうなの…」
シンヤはそう言うと冷蔵庫から缶ビールを出して飲む。
気持ちいいって感じないのに、そんな表情は出来ない。
そう言おうとして止めた。
それを言うと多分喧嘩になるし、この部屋で大声で怒鳴られたくないし…。
シンヤは缶ビールを飲み終えると、黙って出て行った。
もうしばらく彼はこの部屋には来ない。
それが悲しいとも思わないし、来て欲しいとも思わない。
私はベッドを抜け出し、シャワーを浴びる。
熱いシャワー。
私に染みついた男の匂いを洗い流す。
そしてその匂いを全部流した瞬間。
それだけが私の安堵の時。
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