私の果てに。

3/19
前へ
/19ページ
次へ
「お前さ、セックスして気持ちよくないの」 シンヤがさっさと果てて、下着を穿きながら言う。 私はベッドで髪を触りながら黙ってた。 「やってるこっちが拍子抜けするんだよな…。ちょっとは気持ち良い表情とか見せたらどうなの…」 シンヤはそう言うと冷蔵庫から缶ビールを出して飲む。 気持ちいいって感じないのに、そんな表情は出来ない。 そう言おうとして止めた。 それを言うと多分喧嘩になるし、この部屋で大声で怒鳴られたくないし…。 シンヤは缶ビールを飲み終えると、黙って出て行った。 もうしばらく彼はこの部屋には来ない。 それが悲しいとも思わないし、来て欲しいとも思わない。 私はベッドを抜け出し、シャワーを浴びる。 熱いシャワー。 私に染みついた男の匂いを洗い流す。 そしてその匂いを全部流した瞬間。 それだけが私の安堵の時。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加