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「なあ、未和子。今日はやけに海が静かだな」
俺は眠っている未和子に声を掛けてみる。
そんな事で未和子が目を覚ますとも思っていなかった。
「海が静かな日は、潮風も優しいな」
そう重ねたが、一向に起きる気配はない。
俺はベッドを抜けると、何もない部屋にポツンと置いたウォーターサーバから大き目のグラスに水を半分ほど注ぐ。
いつも半分程しか水を入れないのだから、こんなに大きなグラスじゃなくていいのだが、たまたま酒屋でかったメーカーズマークにそのグラスが付いていて、未和子と二人だったから、店主がもう一つおまけに付けてくれた。
そのグラスが大きいけれど洗いやすいと未和子も言う。
そのままこのグラス二つだけで事は足りている。
俺はソファに掛けていたジーンズとワイシャツを身に着け、リビングのドアを大きく開けた。
その瞬間風が抜ける。
レースのカーテンが大きくはためく様に広がり、それを押さえるようにして俺はデッキに出た。
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