ナチュラル

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狭い国道とJRの高架下を潜ると、小さな町がある。 車も通れないような路地で作られている町。 数軒の喫茶店と豆腐屋、総菜屋、雑貨屋などが隣り合って並ぶ。 やってるのかやってないのかわからないカレー屋や、写真や絵を飾っているギャラリー。 需要の無い古びた写真屋。 それを抜けると民家の壁が続き、突然、車の通る道に出る。 その辺りにはパンの焼ける匂いが広がり、古いパン屋の傾いて色あせた看板が見えた。 海に近いせいか、その看板の端は錆が浮いていた。 パン屋の角を曲がると、今ではあまり見かけなくなったソフトクリームを形取ったプラスチックのオブジェの様な看板。 これを見ると何故かソフトクリームが食いたくなる。 確か明かりもつくんじゃなかったかな…。 俺たちはそのソフトクリームの看板のあるケーキ屋の奥にある洋食屋のドアを開けた。
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