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中3の1月末・幼馴染のあいつと高校の願書を提出しにいった帰り道
何かのフェスティバルの横で 郵便局の「3年後の同じ日(あたり)に手紙を届けます」なんてのをやっていた/ 特別な封筒を購入し「3年先へのポスト」に投函するシステムらしい
「ねえ・出してみない? お互いの受験合格の祈願になるでしょ」
「どういうこと」
「お互い宛てに手紙を出すの/住所はここにしちゃおうよ・受かってたらお互いに手紙が届くじゃない」
鞄の中から 南多摩高等学校のパンフレットを出す
「落ちたら どうするんだよ!」
「今からもう 落ちるつもりなの?」
しかたなく・鞄にある学習用の無地のレポート用紙に書く って何を?
「3年後というと もう高3だぜ」
「また受験だね・いいから書くの あたし投函してくる」
あいつは この南多摩高等学校には入学しなかった/というか受験すらしなかった・父親の仕事の都合でオーストラリアに行くことになっていた らしい
オーストラリア・ビクトリア州のマレー川沿岸にある町ミルジューラ
世界地図で確かめる/ ここからほぼ南 7780kmの距離に あいつはいる
それを知らされなかったのは僕だけで 高校に入学してから知った/あいつらしいとはいえ 頭にもきた・あいつから来ない限り メールだってしない
ただ手紙の存在は・正直忘れていた時期もあったけれど 3年後の1月 がが近づくにつれて・あいつとのこと が鮮明に思い出されてくる
はたしてあのときの手紙は・投函した日から3年と3日経過して 3年C組の僕の机に届いた
「あの市立図書館で午後3時に 待っています」
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