3年と3日前の手紙

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「あの市立図書館で午後3時に 待っています」 なんて手紙だ 日付すらないじゃないか/ 3年先(あたり)だったっけ・ちょうどにしろよ郵便局! と今さら文句を言う 図書館のいつもの席に・あいつは 3年と3日前と同じように座っていた/ 僕に気がつくと あの日と同じように笑って 「オーストラリアのこと・どうしても言えなかった/ 待ってるよ・とか言われたら あたしが動けなくなっちゃう・ごめんなさい 手紙は書いてたんだ・出す勇気 はなかったけど」 色とりどりの大きさや形の 100通少しの手紙が紙袋いっぱいにある 「せっかく書いたから・今日から1通ずつ順番に ポストしていくね」 「君が書いてくれた あたしへの手紙は出さなかったの/ だから・いつも持ち歩いていました」 まだ封の開いていない3年と3日前の僕の手紙を 手にする/ 何を書いたか 細かなトコは忘れているが 〔3年と3日前の自分のあいつへの概要〕 は覚えている あいつは・ペーパーカッターで 楽しそうに手紙の封を開ける
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