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プロローグ
――さて。
これから語る話は、僕がたった一冊の本を手にしてしまったせいで。
自分の“人生”が狂ってしまった話だ。
僕が手にした本――それは『なんでも願いを叶える』という、まるで魔法のようなものだった。
だが――そんな美味い話には必ず裏がある、というのは定番中の定番だ。
例えるのならば――
今投資すれば、数年後には何倍、何十倍にもなって手元に返って来る、とか。
たった一日働いただけで十万円ももらえるバイト、とか。
今の二つはどう考えても怪しく、必ず裏があるものだ。
だからこそ――僕も最初は怪しいと思った。……いや、無意識に思わなかったのかもしれない。
人の欲というのは目の前の怪しい影を盲点にさせてしまうものだ。
だから僕は最後の最後までそれに気づくことが……出来なかった。
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