第一章 一冊の本

9/9
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
 ――――……  電車から降りて、暗闇の中、自分の家に向かって歩いている――と。  突然急に猛烈な向かい風が襲ってきて、なにかが僕の顔に張り付いた。  視界を奪われた僕は無我夢中で自分の顔に張り付いた“なにか”を剥がし、それが一体何なのかを確認する――すると。  それはなんと――『一万円札』だった。諭吉さんが描かれている、この日本で一番価値があるお札だった。  まさかこんな偶然が起きるだなんて……本当にラッキーだ!  やはり日頃の行いというのは大事なものなのだな。だから神様もこうして僕に贈り物をくれたんだ。  それとも…………まさか、ね。  でも偶然手に入れた一冊の本。。  奇跡的に手に入れた一万円札。  その二つを手に入れた僕はもはやスマートフォンの画面にヒビが入った嫌な気分など忘れて気分よく家に帰宅した。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!