第一章 一冊の本

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第一章 一冊の本

 技術が発達した現代社会――そこに一歩足を踏み出せば、外にいるのは。  片手にスマートフォンを持ちながら歩く人。  耳にイヤホンを付けて音楽を聴きながら自転車をこぐ人。  もしくはそのどちらも使用している人。  技術が進歩した結果――人は自分の“欲”に逆らえなくなったらしい。  それに、そんなことをしない人間を見た日が、果たしていつの日だったのか……もう思い出せないほどだ。  ――無論、僕もその中の一人だ。  僕が通っている大学は一人暮らしをしているアパートからはかなり離れている。  だから、その大学に行き来する時間はあまりにも長いから、電車に乗っている間は僕も片手にスマートフォンを持って弄っている。  しかし僕はそこでソーシャルゲームなどという遊びはしない。  だって、Wi-Fiが飛んでいないところでソシャゲしたら一瞬で通信制限がかかってしまうじゃないか。  そんなことになってしまったら、僕は一体なにで時間を潰せばいい?  本? 参考書? ――嫌だね。  そんなわざわざ苦労するような生き方はしたくない。
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