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第一章
───少年がツクモを貰った翌日。
ベッドの上で健やかな寝息を立てる少年。その少年が
眠るベッドの隣、サイドテーブルに置かれたデジタル時計が
“ピピッ! ピピッ!”と。電子音を鳴らしている。
否、鳴らし続けていた。電子音の鳴り響く室内。
「んん~……。」
時計の音が煩い。そう思ったのはこれで何度目の事だっけ?
オレはふわっとした意識でどうでも良さそうな事を考える。
いや考えちゃ駄目か、もう起きないと。んでも後少し、後少しだけ眠りたい。
そしたら多分気持ち良く起きれると思うんだ。あー……。
時計のボタンまでが遠い。今だけ念力でも使えないかなぁ。
考えのとっ散らかった頭でぼやぼやとしていると、脇腹の辺りで
何かが“もぞもぞ”と動く。何だ何だと思う暇も無く
何かが這い上がって来ている。やがてソレはオレの肩に何かの圧力を掛け。
「ふが?」
『───』
辛うじて開けた左目からは、オレの左肩に両足をピンッと伸ばし。
掛け布団を頭に乗せた子犬型のツクモ。オウカが顔を覗かせていた。
オウカはそのまま掛け布団から飛び出すと、サイドテーブルに乗せた
時計へ近付き“ガンッ!”っと。時計上部のボタンを
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