第一章

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 溜息を吐きながら机に突っ伏す。遠足やゲームの発売日前は  オレは何時もこうだ。楽しい事が明日に成ったらあると  思うと、どうしても眠れない。オウカの時は興奮しすぎて二日前から  徹夜したから当日にはぐっすり。そんな所為でこの有り様。  今日はいよいよお寺で修行する日だってのに。二日目前のヤカン騒動で、  和尚と不二崎さんはお詫びと言ってオレ達のツクモを  鍛えてくれると約束してくれた。それが修行だ。修行。  秘密の修行。ぐふふ。こんな楽しそうな事が今日からかと思えば、  中々寝付けないさ。そう思いながら、何故かオレに付き合って  徹夜したオウカの背を優しく撫でる。膝上で“すやすや”と眠るオウカが  この上なく羨ましい。ぐぬー。 「まあでも、楽しみだよなぁ……。」 「楽しみだね。でも、何をするのかちょっとだけ不安、かな。」  不安だと言う白波の言葉からは、不安以上の強い期待を感じる。  オレは白波の期待に自分の期待も乗せ。授業が始めるまでの間、  二人で話を膨らませては楽しく過ごす───  ───教室に先生が来た時には、オレの意識は夢の世界へ  行きかけていた。凩先生の出欠確認で何とか返事をし。  短いホームルームを経ていよいよ授業開始。 「今日はこの前話しそびれてしまった、     
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