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紗江は目を丸くした。
「だってさ,濡れ鼠のまんまで出かけたくないじゃん」
「そうだね」と言いながら,紗江は笑った。この人面白いかも。
「笑うなよ。…じゃあ紗江ちゃんは?」
口を尖らせながら,昴が訊き返してくる。紗江は「ゴメン」と謝ってから答えた。
「私は…,そうだなぁ。植物の気持ちになってみる」
「…?」
昴は首を傾げた。紗江はつっかえつっかえ説明する。
「えっと,雨って,人間にとっては迷惑なものでしょ?でも,植物達はきっと,雨が降って喜んでると思うの。雨って,植物にとっては大切なものだから。…だから,私も,雨が降っても嫌だなぁって思いたくないの。前向きに考えたいの,何事も」
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