0人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は小学四年生の天川流星。
「そういえば、今日から学校だって!」
「ああ、青野さん?もう帰って来てたんだ。」
お母さんとお父さんの会話も、テレビを見ながら朝食を食べている僕の耳には入らない。あ、今ウインナー食べた。おいしいなー、とぼんやり思う。
今、テレビでとても面白いニュースがやっているんだ。なんと太陽系に新しい惑星が見された!数日前からニュースになっていたんだけど、ついにはっきり確認されたんだって。その惑星は今まで僕らが知っている惑星とは全然違っていて…。
「流星!聞いてる?」
お母さんがテレビの電源をぶちっと消しちゃった!
「もう、今日で十歳だっていうのに!こんなんで大丈夫かしら。」
お母さんに逆らっても無駄なのはわかってる。お母さんは僕のアラーム時計だからだ。僕がしなきゃいけない事、約束した時間、そういう時が近くなると、ガミガミうるさくなるようになっているらしい。
僕はごちそうさまを言って席を立ち、自分の部屋に入った。
「いいところだったのに!お母さんはいつもそうだ。」
僕は水槽にいるザリガニのハーシェルに話しかけた。独り言じゃない。
本棚から宇宙の図鑑を取り出して、勉強机に向かう。新しく発見された惑星が載っていないのはわかっているけど、このムズムズする気持ち!図鑑を開かずにはいられなかったんだ。
「ちょっと流星!学校は!」
お母さんが部屋のドアを叩く。
「やっぱり、おかしい…。」
僕はそれどころじゃなかった。やっぱり、あんな惑星が、今頃になって新しく発見されるわけがないんだ。
その時だった。
ドンッと背中を押されたような衝撃があって、僕の視界の中にあった図鑑や勉強机が不思議にずれて見えた。
景色が二重になったような、謎の感覚が起きた。
「…?」
僕は目をこすった。部屋の中には誰もいないし、僕は椅子から落ちてもいなければちょっとも動いてもいない。
見回すと、何だか部屋の中に細かいキラキラした粉が舞っている。窓の外が曇ったように暗くなっていた。今日はよく晴れるって、天気予報で言っていたのに。
もう一度、テレビを見なくっちゃ。
僕は部屋のドアを開けた。
最初のコメントを投稿しよう!