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「明日って、何もないよね。」 「七時から空けておいて、何処かに行くの?」 「うん、」 昨晩こんな会話があった。 ただこれだけの会話だが、母は友人に会う約束をしたのだと思ったらしい。 一人で何処かに行く、とは言わなかった。珍しいことではない。悪いことでも無いと思う。しかし、私は、嘘を吐いた、と言うことに対しての罪悪感を感じていた。 母との会話は最小限にしたい。 母とは多く話し過ぎた。 おそらく私に会った時、母は私の友人は元気だったか、と訊ねるだろう。そこで、本当は一人だった、と私は言えるだろうか、 いつからだろう。こんなにも、母と話す時、言葉を選ぶようになったのは、 この人はこう言ったらこう言うだろう。だったら言わなくて良い、言わない方が良い、良く知る相手なら余計に、
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