スターライトシンドローム

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 病院の待合室はちらほらと人が溢れていた。その隅っこで1つ席を開けて七星と成夫は並んで座っていた。 「七星、ニューヨークに一緒に行こう。そこでゆっくりすればいい。アイドルのことは忘れて2人で支え合ってやっていこう。歌ならどこでも歌えるだろう。カラオケでもどこでも」 成夫がそう言うも七星はどうしても納得いかなかった。 「私は夢を叶えたい。どうしても・・・」 「無理だろう! 」 成夫が珍しく大きな声を出したので七星も少し驚き、近くにいる人たちは成夫をギラっと見たので、成夫は冷静さを取り戻し普通のトーンで話始めた。 「もう何年やってダメだったんだよ。売れる子はすぐに売れる。でも七星はそうじゃない」 成夫が真剣な目で七星を見つめて、厳しい言葉を七星に浴びせると病院のテレビでは追い打ちをかけるように七星がよく知っている子が出ていた。 「紅白、初出場おめでとうございます。柏玲愛さん」 彼女は七星の事務所の後輩で、昨年からアイドル活動を始めた子である。テレビには柏玲愛(18)とご丁寧に年齢まで出ていた。 「ありがとうございます。こんなに早く夢が叶うなんて思ってもいなかったです。年の締めくくりに相応しいステージにしたいと思います」 芸歴2年の柏玲愛は紅白、芸歴11年の七星はテレビはおろか小さなステージに立つだけ、しかも腰を痛めてドクターストップである。七星は実力も体力もすべてにおいて限界を感じていた。 「成夫、私ニューヨークに行く」 七星は苦しみをすべてかみしめてそう言うと、成夫は七星の横顔を見つめながら答えた。 「分かった。ニューヨークで2人で住める部屋を探しておくよ」
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