スターライトシンドローム

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「いらっしゃいませ。いつもありがとうございます。衣装はどちらにしますか? 」 七星の問いかけにサングラスをかけたそのファンは何も答えず、カバンをごそごそとあさり水着を取り出した。 「これを着てほしい」 「え・・・そ・・それは・・・」 七星の笑顔が消えていった。その取り出した水着は水着というよりほぼ紐である。布の部分が胸の頂上部分の少しぐらいと、下も後ろは5mm程度の幅しかない。 「私はアイドルなんでそんな水着は着れません」 七星がそう言うとサングラスのファンは不機嫌な顔になって下を見た後、七瀬の顔を睨んでまくしたてた。 「おまえみたいな三十路手前のアイドルの追っかけをやってあげてるんだぞ。今日も4部とも撮影権買ってやってなぁー! もし着れないと言うなら、若いアイドルにくら替えするからなぁ」 七星は焦った。撮影会は1部を2時間とし、4部まである。30分で1人なので1部につき4人である。4人だったら貴重だと思われるが、4人埋まるのがやっとである。七星の熱狂的な追っかけファンは、汗かきな小太りファンと、体モノマネをしてそうなファンと、このサングラスのファンの3人にしかいない。そう撮影会はこの3人しか来ないのがザラだ。だからサングラスのファンにくら替えされたら困るのだ。 「すいません! 着ます着ます」  七星はサングラスのファンに撮影されながら恥ずかしかった。はっきりいって裸で撮影されているようなもんだからだ。  しかし七星の囚われている問題はこれだけではない。
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