スターライトシンドローム

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 11月といっても最近の異常気象で暑い日は暑い。そんな強い日差しが都内にあるビルの会議室の机に差し込んでいた。それを遮るようにブライドが閉められた。 「ドラマ主演ですか!? 」 その会議室で七星がそう驚いて大きな声で話していた。 「そうだ」 そんな七星と向き合うように話をしているのは白髪まじりの初老男性がいかにも高そうなシルバーのメガネを上げながら答えていた。 「七星ちゃんも来月12月には30を迎えるんだろう」 「はい・・・」 七星は白髪まじりの初老の男性から目線をそらすと、先程ブライドを閉めていた40過ぎぐらいの男性が七星の横に座り話し出した。 「七星、本城プロデューサーは多くのヒット映画やドラマを仕掛けたすごいプロデューサーなんだぞ」 「はい知ってますよ古村社長」 古村は七星の所属事務所の社長である。 「それで、七星に来年のゴールデンドラマに主演で出ないかという話で、主題歌も担当してほしいという話なんだよ」 本城は業界では知らない人はいないぐらいのすごいプロデューサーで、興行収入100億越えの大型映画や視聴率20%越えの話題の連ドラとかを仕掛けているすごい人。これは七星が一番夢に見ている年末のあの国民的歌番組への出演も約束されているようなもんである。 その時、トュルルルルルと古村の携帯が鳴ったので、古村は電話に出る為に会議室から外に出た。 「ウィス、どうした? 柏玲愛の紅白の出演決まったのか? 」 バタンと古村が外に出て行くと会議室は沈黙に包まれたが、七星は前のめりになって本城に自分の想いを伝えた。 「本城プロデューサー是非お願いします。絶対に夢を叶えたいんです」 七星は真剣な想いで本城に詰め寄った。そうすると本城の口から七星には聞きたくない言葉が発せられた。 「本当に売れたいなら、明日の夜10時にここに来なさい」 その渡されたメモには『シャトルコンフォー東京ベイホテル3001』と書かれていた。
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