スターライトシンドローム

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 もうすっかり夜になり、七星はかすかに見える北斗七星を地平線上に見上げながら自宅マンションに入って行った。  部屋に入ると中から男性の声で、 「おかえり」 という声が聞こえた。30過ぎぐらいのしっかりとしてそうな男性だ。 「ただいま成夫、今日は早かったんだね」 「うん、七星に話があって」 「話? 」 彼は4年ぐらい前から付き合っている彼氏の倉田成夫である。外資系の商社に勤める商社マンである。 「とにかく座ってくれないか七星」 「うん」 15帖ぐらいのリビングの対面キッチン前にある2人掛けのテーブルに向かいあって七星と成夫は座った。 「ニューヨーク本社への栄転が決まった」 「え・・すごいじゃん! 」 七星は成夫の出世に喜びながらもニューヨークというフレーズに手放しでは喜べなかった。 「それで一緒にニューヨークに来てほしい」 そう成夫が言いながら机の上に出したのは結婚指輪だった。 「七星、僕と結婚してほしい」 七星は嬉しかったけど、でも苦しくもあった。 「ちょ・・ちょっと待って! いきなり過ぎて整理がつかない・・・」 成夫はいつもそうだ。いきなり七星が想像していないことを言い始める。付き合う時もそうだ。握手会の場所まで来てバラの花を差し出して告白して来たのだ。 「な・・・なんだぁおまえ! 」 と、あの体モノマネをしてそうなファンもいつもニコニコしているのに、その時だけは真剣な顔になってガードマンのようになる始末だった。それぐらい突拍子もなくて七星を悩ませる。でもどうしても好きだったし、成夫の猛アピールで今こうして付き合っているのだ。 「考えてくれないか。俺は明日の夜の便でニューヨークに挨拶に行く。帰って来たら一緒にニューヨークに行きたい」 成夫は真剣なまなざしで七星に詰め寄った。この目に七星は弱いのだ。
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