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対するレリスはその隙を逃さず、テレアに目掛けて鋭いローキックを放つ。
その攻撃は見事テレアに左足にヒットした。
「レリス、一ポイント!」
俺のその声と共に、ローキックでバランスを崩したテレアに向けて、レリスが前蹴りを繰り出した。
なんとか身体を逸らすことでかわそうとしたテレアだったが、かわしきることができず左肩にその前蹴りをもらってしまった。
「レリス、二ポイント!」
あっという間にレリスに王手が掛かってしまった。あと一回レリスが攻撃を当てればテレアは負けになる。
だが俺は攻撃をヒットさせたレリスの表情が、なんだか釈然としていないのを見逃さなかった。
テレアは蹴りを食らった左肩を抑えながら、大きくバックステップで後退して距離を取った。
レリスは距離を取ったテレアを無理に追撃しようとはせず、その場に留まり呼吸を整える。
これが俺だったらあと一ポイント取れば勝てる!と勝負を急いでしまい、そこをテレアに一気に突かれて逆転される流れになるだろうが……さすがにレリスは冷静だな。
「……レリっち冷静」
「これがシューイチさんなら、深追いしてきたところを待ってましたとばかりと言わんばかりのテレアちゃんに一気に逆転される流れですね」
ほらな?
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