転生~ただし全裸~

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 どの程度時間が経ってるのかわからないが、助けを求めるどころか悲鳴すら上げる暇もなかったせいで、未だ家族の誰に発見されてないという始末だ。  しかしそう時を待たずして、風呂から出てこない俺の様子を見に来た母さんあたりが発見することになるだろう。  この無様な死に方をしているこの俺……葉山宗一を。 「うわー死んじゃったのは仕方ないにせよ、もうちょっとましな死に方できなかったのかよ俺!父さん母さんほんっとごめん、最後の最後まで恥さらしな息子で!」  なんて言うものの、別段恥を晒してきた人生ではなかったし俺は俺でちょっとアニメや漫画やゲームが好きなごく普通の高校生だ。  友達だってそこそこいたし運動も勉強もまあ普通だった。  彼女どころか好きな女の子すらいなかったのが若干心残りではあるかな。  悪さをしたわけでもなかったのに、いくらなんでもこの死に方は情けなさ過ぎる……もうちょっとましな死に方があっただろうに……。  死んでしまえばあとのことなんて気にする必要なんかないと生前は思っていたが、いざ実際に死んでみるとこれはこれで不安ばっかりだった。  頭を抱えながら悶えていると、不意に視界がホワイトアウトし始める。  何事かと周囲を見渡す間にも、見る見るうちに世界が白く塗りつぶされていく。     
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