暴走~短期決戦~

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 突然聞こえたもう一つの咆哮に驚き、そちらに目線を向けるとピースケと同じように興奮し暴れまわるコックルが団員に取り囲まれていた。 「コックルやめろ!一体どうしたんだ!?」  団員たちが必死に声を掛けるも、ピースケと同じで全く聞く耳を持たないようだ。  あの大人しかった二匹がなぜ暴れてるんだ? 「シューイチさん、あの二匹に怪しい魔力が纏わりついてます」 「怪しい魔力……?もしかしてそれのせいで暴れてるのか?」 「はい!恐らく誰かに理性を失い暴走させる魔法を掛けられてますね」  どこのどいつがそんなこと……と思い、先程のあのキザ男が脳裏をよぎる。  ほぼ間違いなくアイツが犯人だろうが、今はそれを確認しあっている場合ではない。  今は何とか団員たちに牽制される形で抑えられているが、もしもこの二匹が外で暴れまわったら大変なことになるのは、火を見るより明らかだろう。 「あとこのままだと、30分もしないうちに国の憲兵団が騒ぎを聞きつけてやってきてしまうと思います」 「え?憲兵団に見つかっちゃったら、あの二匹討伐されちゃうんじゃ……」  エナの言葉を聞いたテレアが不安そうに言った。  それだけは何としても避けないとな……。  事態は一刻を争うみたいだし、今回はちょっと四の五の言ってられない。 「一つ聞きたいんだけど、その暴走させる魔法って解除できる?」     
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