追及~腹の探り合い~

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「……一座にいるのはみんなおじじを慕って集まって来た人たち……おじじに恨みを持ってる人なんているわけがない」 「だそうだけど?」 「ふむ……なら別の誰かの仕業ではありませんかね?」  あくまでもしらを切るつもりみたいだ。  とはいえ俺もそんな簡単にこいつが口を割るだなんて思ってはいないので一旦この話題から離れよう。 「じゃあ話を変えるけど、お前さんはどうしてフリルを誘い込もうとしてるんだ?」 「フリルさんは新緑の歌姫として有名な方ですからね……ぜひ我が教団に入信していただいて教団のイメージアップに貢献していただきたく思いましてね」 「お前それ遠回しに「カルマ教団は周りのイメージが良くない」って自分から白状してるようなもんだぞ?わかってる?」 「ええ、ですからぜひともフリルさんを我が教団に入信させたいのですよ」  そう言ってロイがニッコリと笑った。  一見紳士スマイルだが、その裏でどす黒い何かがうごめいているのがよくわかる、見ていて不快になる類の笑顔だった。 「そのことと一座に遠回しに嫌がらせしてるのはなんか意味があるのか?」 「嫌がらせ……?」 「お前さんが引き込もうとしてる、俺の隣にいるこのフリルが、一座がこの国に来てから逐一この教団から嫌がらせ受けてるって俺に相談しに来たんだけど?」     
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