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「失礼ですが、なぜ我々だと思ったので?」
「……教団のワッペンつけた人が逃げていくのを何度か見かけた」
それが嘘か本当かはわからないが、もし事実ならアホなことこの上ないな。
「どうやら私のあずかり知らぬところで、教団の人間がそちらにご迷惑をおかけしたみたいですね」
「下のもんの失態は上のもんの責任だと思うけど?」
「そうですね……申し訳ありませんでした」
そういってロイが見るからに形だけの謝罪をしてきた。
相手の神経を逆なでするのが非常に上手なことで……多分わざとやってるんだろうが。
「自分のところに引き入れようとしてる相手の心情を悪くするようなことさせるとか、お前らの教団どうなってんだよ?」
「いやはや……お恥ずかしい限りで」
「そんで話変わるんだけど、お前さん「歌魔法」って知ってるか?」
「歌魔法……ですか?残念ながらご存じありませんね」
ロイの表情が一瞬だけピクリと動いたのを俺は見逃さなかった。
「本当に?ほんとーに知らないの?」
「今初めて聞いた単語ですね」
「へぇーそうか……んじゃとっととこの音楽止めてくれよ?ノイズが酷くてとても聞いてられねーんだよ」
「ノイズ?何の話ですか?」
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