追及~腹の探り合い~

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「これこそしらばっくれんなって話だよ。この音楽に魔力がこもってんのはもうとっくにばれてんだよ。何かの洗脳系の魔法なんだろうけど、残念だが俺たちには効かないぜ?」  ロイが俺たちを2秒ほど見てから、机の引き出しを開けて何やら操作した後、音楽がぴたりと止んだ。 「……なぜお気づきになったので?」 「最初に気が付いたのはフリルだ。さっきの音楽にノイズが乗ってるって教えてくれたんだよ」 「……」 「お前さんさっき歌魔法のこと知らないって言ったよな?それならなぜさっきの音楽に魔力を込めてたんだ?それは歌魔法のことを知ってるからできることじゃないのか?」  俺の指摘に、ロイが深くため息を吐いた。 「ご明察の通りさっきの音楽は聴いている人間の意志を希薄にさせて、判断力を低下させるものですよ。あなたたちの意志が思いのほかはっきりしていたので少しばかりおかしいと思っていましたが……まさか気が付いているとはね」 「もうしらを切るつもりも、隠す気もないのかよ?」 「さっきの音楽が君たちに効かない上に、それを看破されている以上、もはや適当な説明でうむやむにすることはできそうにありませんからね」  開き直ったってわけか……それならそれでこちらにとっても好都合だ。 「ちなみに音楽に含まれていたノイズですが、精神に浸食する魔法を身体がレジストする際にそれがノイズとして発生しているんですよ」     
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