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ロイがこちらを身体ごと大げさに振り返り、両手を広げて楽しそうに……まるで子供のような無邪気な笑顔で言葉を続ける。
「私はどんな手を使ってでも神獣の封印を解きますから、あなた方もどんな手を使っても構いません……私を止めてみてください!」
「そんなくだらねーことに付き合うわけないだろ?」
「付き合ってもらうしかありませんよ?さもなくば私はあなたたちを無事にこの部屋から出すつもりはありませんから?」
そう言ってロイの表情が冷たいものに変わる。
「ひとついいことを教えましょうか?私があなたたちに手を出さないのはあの手紙のおかげです。あれがなかったら速攻であなたを殺してフリルさんに洗脳魔法を掛けて、神獣の封印を解きに行ってるところです」
多分その言葉に嘘はないだろう……こいつはその気になれば誰にも知られることなく、この場で瞬時に俺を始末できるんだ。
ただあの手紙があったから……たったそれだけの理由でこいつは俺を殺さないようにしてるだけなのだろう……ゲーム感覚かよ恐れ入るぜ。
「それと……このままゲームを始めてしまっては私がちょっと不利ですからね……立場を対等にするために少しばかりハンデを背負ってもらいましょうか?」
「ハンデだと?」
俺が聞き返したその刹那、ロイの身体から目視できるほどの魔力があふれ出てきた。
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