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対峙してる相手からすると突然テレアが目の前から消えたかと思えば、いきなり横に現れて攻撃を繰り出してくるのだからたまったものではない。
最近は大分その動きにも慣れてきたけど、慣れたら慣れたで今度はまた別の動きでこちらを翻弄してくるものだから本当に質が悪い。
だが今回の相手は俺ではなくレリスだ。
さすがにテレアに勝負を挑んでくるだけあって、レリスはテレアの猛攻を冷静にさばいている。
最初こそテレアの素早い動きに翻弄されて防戦一方だったものの、今は段々その動きに慣れてきており、所々でしっかり対処している。
俺からすれば突然消えたかのように見えるテレアのあの動きにもしっかり反応していて、チャンスがあれば攻撃に転じる余裕も出てきたようだ。
「段々レリスさんの攻撃の頻度も上がってきましたね……!」
「……どっちも凄い」
観戦しているエナとフリルも、二人のその攻防に息をのむのも忘れて見入っている。
気が付いたら同じ休憩スペースで休んでいた他の冒険者までもが観客として見物していた。
なんだよお前ら見世物じゃないぞ?観戦料取るぞこの野郎。
……と審判である俺が試合から目を離すわけにはいかないな。
いくらテレアと言えど動き続けていれば必ずそこに隙が生じる。
ほんの一瞬、呼吸を整えるべくテレアが足を止めた。
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