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ていうかまたフリルが変なあだ名をレリスに着けてるし……ってそれはともかくだ!
フリルにツッコミたい衝動を抑えつつテレアとレリスに目を向けると、二人は距離を保ったまま膠着状態に陥っていた。
一見ただ睨み合ってるだけに見えるけど、二人の脳内では凄まじい心理戦が繰り広げられてるはずだ。
状況的には有利なはずのレリスの表情に、なぜか焦りの色が見える。
対するテレアは、まったく焦ってはおらず、そればかりか構えていた両手を少しずつ下げていく。
これはあれだな……テレアがレリスを誘ってるんだけど、肝心のレリスが警戒して攻めあぐねてるんだな。
あと一ポイント取れば勝てる勝負ではあるものの、その一ポイントをやすやすと取らせてくれる相手ではないことは、レリスも重々承知しているということか。
だがこのまま睨みあっていたのでは勝負はつかない。
延々と続くかと思われた膠着状態を破ったのは、しびれを切らし飛び出したレリスだった。
……結果だけ言えばその時点ですでに勝敗は決していたと言ってもいい。
待ってましたと言わんばかりに、テレアが全く同じタイミングで……いやテレアのほうがほんの一瞬早くレリスへと飛び出していた。
だがそのほんの一瞬が、レリスの動揺を誘ったのだ。
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